医療法人 保坂小児クリニック 小児科 整形外科
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先生今日はお忙しいところ、ありがとうございます。早速ですが、先生が着任された経緯を教えて頂けますでしょうか。
私は、医師になってから長い間、整形外科医として仕事をしてきました。一方、母は長らく小児科医師として病児保育に関わっておりました。病児保育は、母が全国に先駆けて始めたものですが、現在では全国に広がり、国の制度ともなり、ドラマのテーマにも取り上げられたりして、随分と社会的に認知されるようになってきました。病児保育は、病気のお子様を抱えたお母さんたちの就業支援としての意義のみならず、病気のお子様自身の成長発達にとっても大きな役割を果たしています。そのような役割の重要性を考えると、長年、地域の子育てに貢献してきた当院の病児保育室は、今後も必要不可欠な存在なのですが、もし小児科医として引き継ぐものがいなければ、やがて縮小し閉鎖となる可能性もありました。整形外科医としての僕がいなくても、代わりの方は世の中に大勢いるけれど、当院の病児保育室を引き継ぐことができるのは、僕しかいないのではないかと考えた時、整形外科の勤務医をこのまま続けるよりも、小児科医として病児保育を守り育てていく道を選択するほうが、自分の人生において、より大きな社会貢献になるのではないかと思い至り、母が元気なうちに、後を継ぐことにしました。整形外科の上司や仲間には、かなり迷惑をかけてしまったのですが、最終的には、事情をよく理解してくれて、温かく送り出してくれました。その後、大阪市にある、全国的にも有数の小児救急病院である中野こども病院や、地元枚方にある関西医大小児科学教室で小児医療の勉強をさせていただき、当院に戻りました。新たな学びを通して多くの貴重な経験を得ることができ、小児科専門医の資格もとりましたので、地域の子どもたちに安心安全な小児医療を提供できると自負しています。もちろん、小児医療の分野もどんどん進歩し変化していますので、日々の勉強の継続も欠かすことはできません。
【昭和14年建造の歴史ある建物 元々は旧陸軍火薬倉庫だったそうです】
病児保育は先生のお母様が始められたのですね。素晴らしいですね。始められたころはいかがだったのでしょうか?
家ではいつもニコニコして優しい、ごく普通の母ですが、医師として尊敬しています。しかし、もちろん、母一人ですべてやってきたわけではなく、当初から病児保育に熱心なスタッフや、父母に支えられ、病児保育が守り育てられてきた、ということは忘れてはならないと思っています。クリニックの開設は昭和38年、病児保育室の開始は昭和44年です。当時の香里団地は、東洋一のマンモス団地といわれ、若い共働き世代の家族も多く、子どもが病気になると仕事を休まざるを得ないお母さん達から、「子どもが病気になっても預かってもらえる保育施設を作ってほしい」という要望が高まっていました。しかし、当時はそのような保育施設の仕組みが世に全くなく、また、女性の社会進出に対する理解も不十分で、子供が病気のときくらい、お母さんは家にいたほうが良い、仕事するなんてとんでもない、という価値観が根強かった時代です。そのような背景もあり、病児保育を開始した当初は、本当に苦労の連続だったと聞いています。最近でこそ、子供が病気の時だからこそ、しっかり社会的な資源を活用して、子供を守り育てていくことの重要性が理解されるようになってきましたね。
【積み重ねられた功績の数々の中には、歴代総理の名前も】
先生の熱いお気持ち伝わってまいります。今後についてはどのようにお考えでしょうか。
病児保育においては、とにかく安全第一ですね。子供が病気になり、不安を抱えたお母さんが、安心して仕事に専念してもらうためにも、お預かりする以上は、その点はしっかりと守りたいと思っています。元気な子供を預かる通常の保育園とは違って、病気中の子供をお預かりするのですから、より高度で専門的な看護・保育レベルが要求されます。突然の容体変化が生じる可能性もありますから、緊張感をもって取り組んでいきたいと思います。うちの病児保育室は長年の経験があり、またスタッフの皆さんは、病児保育に関わることに誇りと情熱を持ち、かつ細かい配慮ができる方ばかりですので、大変心強く思っています。あと、普段の診療では、子どもを危険な感染症から守る予防接種に力を入れています。できるだけ母子手帳を確認して、予防接種の漏れがないか確認し、不足分を積極的に説明しています。予防接種は、接種した子供自身を守るだけでなく、園や学校、家庭で感染症をばらまいて他人に迷惑をかけることも防げます。最近、予防接種の数も増え、親子ともども大変な面はありますが、予防接種により重篤な感染症に罹患する児が大きく減少したことが証明されていますので、是非、定期接種はもちろん任意接種の予防接種も全て、規定の月齢・年齢に達したら、できるだけ早く接種を済ませてほしいと思います。
【スタッフの皆様は、誇りと情熱細かい配慮ができる方ばかり 大阪ミュージアムの登録証も飾ってあります】
先生は本当にお子様が好きなのですね。
自分にも娘と息子がいて、子供はかけがえのない存在であるという思いを持っているのが大きいですね。そのような認識を、来院されるご両親と共有して診察することは、とても大切なことです。その上で、今何が子供にとって問題でありどう対応すべきかを考えご両親に説明するように心がけています。未来を担う子供達の成長発達に関わる、小児医療及び病児保育は、本当に素晴らしく、楽しく充実した仕事です。子供が元気だと、家庭が明るくなり、社会が明るくなり、そして明るい未来を創ることにもつながりますからね。一方で、整形外科をしてきた経験は今でも生きています。ケガをした子供さんも来られますから、そういうときは整形外科で培った知識や技術が役に立ちます。
【保坂先生 静かな語り口の中に、周囲への配慮や熱い想いが込められています】
編集者から一言―
整形外科ご出身で、現在小児医療に携わる保坂先生、体ががっちりしていて、力持ちで力強いそんな印象ですが、一旦子供のことを話し出すと、子供が好きで、優しい熱血漢の一面がどんどんと見えてきます。子供を守りたい!という力強い姿です。頼りになる先生が着任されて、枚方の皆様は、幸せだなとつくづく感じ入りました。大切な大切な病児保育が、温かくしっかりと枚方の香里団地の中で継承されています。
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